舞い散る日々のなかで踊れ

散財していくタイプのおたく。

まんが「浪費図鑑」読んだら泣きそうになった。

話題の「浪費図鑑」のまんが版が発売されたので読んだ。

自分の命削って稼いだお金を、好きなことに使ってなにが悪いんですか!?悪くないもん魂の補完だもんえーーーーんって気持ちになったよ最高!!!

お金で買える尊み最高〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

推しに時間とお金を浪費…まあそりゃ興味ない人から見たら無駄遣いの極みだとか愚行の果てとかなんでしょう。時間や空間に対して時間やお金を使って、だけどその中で生まれる感情にお値段つけられない。

 

まんが浪費図鑑 (コミックス単行本)

まんが浪費図鑑 (コミックス単行本)

 

 これはまんが。エッセイのほうは同日第二弾が。ラインナップは安室の女、セーラームーン、ジャニーズJr.…なかなか興味深いラインナップ。

 

もともと、のめりこんだら一直線&浪費しがち&タイミング来たら光の速さで飛び込みがちというステータスを初期装備しているので、なにかのおたくになると前面に出てきちゃいますけど、ジャニーズにはまってからはそれが顕著というか「踊れ踊れ~~~~~~~~~~~~~~~~」と叫びながら沼でノンストップダンス(残高をちらちらしながら札を撒く)しがちな奴になっているわたしには共感しかなかったです。

浪費の仕方ってそれぞれ違って、たとえばこの本の「若手俳優で浪費する女」は舞台チケットのほかにプレゼントをがんがん贈っていたりするし「占いで浪費する女」は誰かに、というより「誰かの言葉」を求めて、だったりするけれど、そこから得られるものの価値はジャンル関係なく変わりもないように思う。その価値に対して浪費している感覚ってあまりないかも。必要経費?無駄だと思っていない。それほど思えるものに出会えた人生をわたしはめちゃめちゃ肯定したいし、むしろそういうの知っちゃうとそれなしでは生きていけない劇薬。最近の合言葉は「速効でキメれるハッピーな魔法くれよ!!!」だ。

一生遊びを忘れず生きていきたい。人は遊ばなくなるから歳をとる(ヒプマイ)だからさ!そんなわたしは最近、もっぱら渋谷の女です。あーでもハマの女もいいなあ。

 

 

おたく的備忘録①フェイバリットマンガオブザイヤー2017

すこし早いけれど、わたしの今年のおたく記録。題して「このまんががすき!2017わたし編」

あいかわらず書店員をしている。去年もこのエントリーで散々書いたから割愛するけれど、今年もさらに下降を辿る出版業界…でもいい作品はいろいろあったよ!ってことで今年も書いている。流行だとかおすすめだとかっていうより、個人的な嗜好に基づいて感想を思いつくままに述べる。

仕事がしんどい、逃げたいなどと毎度のたまわってネガティブをブログ上に吐き出しているだめな奴だけれど、書籍やコミックから逃げたいと思ったことはないし、嫌いになったこともない。なにがいけないか、なにが悪いかっていうのはわかっているんだけど、それを書きだすと自分への呪詛がすごいことになると安易に想像できたのでやめよう☆ただ、ひとつだけ言えることは、今年を振り返って「この時期がしんどかった」とかはあっても、どういう日々だったかほとんど忘れている。これが成長できない原因だなって呆れるけれど、逆になんとか前進できる要因でもある。

万一書店員をやってみたい方が読んでいたとして「しんどいんだ…逃げたくなるくらいなんだ…」って引いていたとしたら、それはちがうよ!本が好きなら楽しいと思う!ま、労働と対価とかそういう話には責任持てないけど…w

ふぇえ…おちんぎんもっとほしいよお…

毎度のごとく順位とかはなくジャンルごとに羅列。ジャンルはざっくり掲載誌に準拠しています。あと最後のほうにちょろっとアニメのことも書いています。

 少年マンガ

 憂国のモリアーティ【~4巻】

憂国のモリアーティ 1 (ジャンプコミックス)

憂国のモリアーティ 1 (ジャンプコミックス)

 

 作者にコナン・ドイルってあるとおり、「シャーロック・ホームズ」に出てくるらしいホームズの宿敵モリアーティ教授(知らなかった)を主人公にした作品。絵がきれいだったのと、裏のあらすじを読んでおもしろそうだったので3巻発売時にまとめて購入。舞台としては「黒執事」とおなじ1800年代後半。階級制度が敷かれた身分差の激しい大英帝国にはびこる「悪しき貴族」を排し、理想の国にするために完全犯罪を計画し遂行していくモリアーティ教授御一行。ちなみにモリアーティとその弟は貴族として生きているけれど、生い立ちとしては貴族ではないのよね。ときとして人殺しも厭わない彼らもまた「悪」でもあるけれど「正義」であることにも変わりがない。ダーティヒーローっていうのは、こう…その…だいたい最終的な局面でどうなるかっていうのがわりと想像できるので肩入れするとわりときついかなって…オルフェンズ*1で学んだ!でもこういう雰囲気やにおいすき…ホームズ通ってきてないからモリアーティ教授が本当のところどうなのかはわからないごめん。もちろんホームズとワトソン君も出てくる。

  ▽ROBOT×LASERBEAM【~2巻】

ROBOT×LASERBEAM 1 (ジャンプコミックス)

ROBOT×LASERBEAM 1 (ジャンプコミックス)

 

 ここ数年のわたしのど真ん中作品である「黒子のバスケ」の作者藤巻先生の新作。でもゴルフ知らない…ごめん。決まった回数よりもより少ない回数でボールをいれると良い、とかホールインワン知ってるくらいの知識…ゴルフ知らないので1巻出たときに買うか迷った。「3月のライオン」を迷ったときと同じ現象…個人的な傾向として、作家買いをしたくともどちらかと言えば内容を重視してしまうので、全然詳しくない分野だと読みこなせるかな…と考えてしまうところもある。が、読ませる展開はきちんとあるし、キャラメイクもあいかわらずいいなあと思いながら今のところは楽しんで読んでいる。三浦鷹山というライバルポジションのキャラは初見で「あおm…」ってなったけど。ただ、どうだろう。ゴルフダイジェストで連載中の「オーイ!とんぼ」や、青年誌の作品とはちがい、まったく存在しないわけじゃないけれど少年誌でゴルフというのはいささか…ってかんじもするし、能力系だとすると黒バスの焼き直しにもなりかねない厳しさはありそう。キャラありきだと女性には人気でやすいけどね…本誌を読んでいないので先行きがわからないけれど、コミックスは売れているほうだとは思う。12月に新刊でるよ!

 ▽ランウェイで笑って【~2巻】 

ランウェイで笑って(1) (週刊少年マガジンコミックス)

ランウェイで笑って(1) (週刊少年マガジンコミックス)

 

 158㎝だけどパリコレを目指すモデル志望の女の子と、デザイナーになりたいけれど家庭の事情でその夢をしまおうとしていた男の子が、全力で駆けだす物語。努力でどうにもならない部分があること、才能が現実に押し流されてしまうこと、人生にはそうやって選択できないことが往々にしてある。無理、無謀、現実を見ろなんて世の中にあふれているし、実際だいたいが悲しいかなそういうものなのだけれど、それでも全力で走るひとがすきだ。マンガ的?そうかもしれない。現実にはありえないかもしれない。少年マンガだから逆転があるかもなんてたしかにマンガでしか為せない。だけど現実的に無理だから、と走り出す前から足を止めたら「かも」にさえ辿りつけない。逆転があってもいいと思う、それはマンガだから。だけどなにより、結果がどうであれ、その力強い可能性の連鎖がみたいんだわたしは。

もしかしたら、それを見ているまわりのひとはしんどいかも。でもそういうふうに生きてきた、と言い切ることができるひとをわたしは愛しく思う。

スタート地点に持っていくまでの不可能を可能にしたからといって成功するかはまたべつの話なのだろうけれど。

 表紙がほんとうにきれい。これから作中に登場するであろうコレクションで発表される服も楽しみ。

  舞妓さんちのまかないさん【~3巻】

 去年の暮れ、キスマイが表紙を飾ったので購入したサンデーに第1回が掲載されていた。気に入って続きが気になっていたので購入してみたらやっぱりすきだった。舞妓さんになりたくて京都へ来て置屋に入ったものの、才能の面から舞妓にはなれないと言われたキヨちゃんがひょんなことからそこでまかないさんとして働いて、舞妓さんたちのごはんを作っている。やっぱりごはんはいい。ごはんを通して描かれる日々の営みはたいせつ。舞妓さん(花街では舞妓ちゃんと呼ぶみたい)もふつうの女の子だったり、あまり知ることのできない花街のちょっとした情報がわかるのもおもしろい。まえにおもしろそうだなあと眺めていた「ちろり」の作者さんってあとから知って、がぜんそちらも読む気になっている。

青年・一般マンガ編

  ▽とんがり帽子のアトリエ【~2巻】

 最高。順位がないと言いつつ「わたし編」第一位かも。「俺TUEEEEEEE」な転生とか、オンラインゲームを主軸としたファンタジーが流行していた昨今に於いて、それらとは一線を画す超正統派のファンタジー。魔法が人々の生活に根付いている世界で、魔法に憧れる主人公ココはふつうの女の子なので魔法使いにはなれない。だけどたまたま魔法使いキーフリーの魔法のかけ方をのぞき見したことから、幼いころにお祭りで露天の魔法使いから買った道具で魔法を使えることを知る。純粋な憧憬と感動で習得をはじめるココ。けれどそれが思わぬ方向へ事態を動かし、ココはキーフリーに弟子入りすることになる…があらすじ。

某読書アプリにも書いたんだけど、まず作画がすごい!!繊細で大胆な線に愛や夢、ぬくもりが詰まっていて読んでいるとわくわくして、こどものころにそういう気持ちで読んだ絵本のことを思い出す。作中に登場する魔法の道具が素敵すぎるし、「魔法はひとびとを幸せにするもの」であるべきなのがいい。キーフリー先生の他の3人の弟子(魔法使い。みんなキャラがすてき)とともに魔法使いとして成長していく過程を描きつつ、実はココに道具を売った魔法使いはハリーポッターで言うところの「闇の魔法使い」のような存在で、ココを依り代になにかを企んでいるストーリーが並行していて、今いちばん続きが気になる作品。グルメマンガではなくごはんが美味しそうなマンガは名作、と思っているし、けっこうそう言われていると思うけれど、2巻に料理シーンが登場してとても美味しそうな料理が描かれたのでその点からしてももうまちがいない。現状でも相当売れてるけど来年もこういう質の高いマンガにはさらに注目が集まってほしい。

  ▽燕のはさみ【~1巻】

燕のはさみ 1巻 (ハルタコミックス)

燕のはさみ 1巻 (ハルタコミックス)

 

 ここに貼りつけた画像では表紙のイラストの美しい色彩が表現しきれていなくてかなしい…大正時代、モボモガが闊歩する銀座でこじんまりとした理髪店を営む父親とその娘燕のお仕事マンガ。お仕事というか理髪師は職人なので職人マンガ。まず過剰とも言える大正のモダンな文化、空気が好きなひとにはたまらん作品だと思う(わたしだ)

技術を極めるというのは職人としてなによりたいせつなことで、その腕ですべてを為し得ていくには鍛練の積み重ね、そしておそらくそれに対する「愛」「懸ける」という気持ちなんだけど、理髪師という職はなにより相手あってのこと。そこには技術だけでなく「接客術」も大事な要素だったりする。細やかな気くばりや愛嬌、会話、触れ方、雰囲気や空間づくり…顧客がなにを重視し、なにを思い店やひと(ここでは理髪師)を選ぶのかというのは現代にも通じるのでは。そしてやっぱり全力でなにかに懸けて強く進むひとがすき。ジャニヲタにもおなじみ帝国劇場(当時)が作中に登場もします。

   ▽昴とスーさん【~1巻】

昴とスーさん 1巻 (HARTA COMIX)

昴とスーさん 1巻 (HARTA COMIX)

 

 ハルタミックスばっかりでごめん。とんがり帽子の白浜先生もハルタで描かれていた方だった。ハルタは良作多いからしかたがない。表紙をみるとこどもとぼしき男の子がなんと煙草を吸っています。あれ…これすてきなオネショタっぽいけどなんで…!?と思ったのだけれど実際はすこしちがう。これはSF(すこしふしぎ)なジャンルだと思うので、ここで種あかしをしてしまうのもあれだし、気になったかたは是非読んでほしい。作中に流れている空気感の純度が高くてすごく素敵なのです…ふたりのあいだに起こっていることは非日常だけれど、その純度の中で営まれるふたりの日常がまた良い。

あ、ハルタといえばたしか来年のハクメイとミコチ」(樫木祐人のアニメ化たのしみ。

  ▽姉なるもの【~2巻】

急に異色感があるけれど、今年のわたしには私の少年」(高野ひと深/双葉社アクションコミックスの影響で人生はじめてのオネショタブームが到来。

クトゥルフ神話にも詳しくないし、だから「千の仔孕む森の黒山羊」がどういう存在なのかも知らなかったし、作者の方が即売会で頒布されていた元々の作品も存じ上げなかったです。だけど、これよく売れるなーってぱらぱら見て、良さげだったので購入。家族がいない夕くんという少年が、引き取られているおじさんの家の蔵で夏休みに表紙のお姉さん(悪魔)を召喚しちゃったら、大事なものと引き換えに望むままを与えましょう、と。それで夕くんは「僕のお姉ちゃんに、家族になってください」と願うことから入院中のおじさんの家でふたりきりの生活がはじまるわけだけれど、このお姉ちゃん(千夜と本人が命名)かわいすぎます!!!人間的な生活を人間と送り、新しい世界に目を輝かせながら夕くんを可愛がる千夜さん。ことあるごとに元の姿が出ちゃうけどそれもまたご愛嬌。夕くんのモノローグで語る部分やなぜ蔵に魔法陣があったのか、かつて同じように人間と過ごしたことがありそうな千夜さんの描写など、明かされていないことはまだあるけれど、おそらくいつかは終わりがくるであろうふたりの生活がまさに夏の儚さのようで切なくもある。

普段あまり読まない傾向の作品、レーベルなので、まさに電撃的な出会いでした♥

  ルポルタージュ【~3巻】

これはねえ、けっこうすごい作品だと思っている。

若者が恋愛をせずにマッチングサイトにおいて「人生の共同経営者」としての結婚相手を見つけることが主流になっている近未来の日本が舞台。恋愛を経ての結婚がスタンダードだと定義すると、孤独な男女が増える。恋愛というプロセスが果たして本当に良いものなのか?恋愛結婚がブームだった世代の夫婦だって不倫、不仲、DV、セックスレス…面倒や痛みをともなうそれって幸せなの?という新世代に「それなら恋愛飛ばして結婚しちゃおう」が一般化している。そんな共同経営者を見つけるための「非・恋愛コミューン」なシェアハウスでテロ(も日常化している)が起きたところから物語ははじまる。記者である主人公はその被害者たちのルポルタージュを書くための取材の中で恋に落ちる。いや、まずすごいなと思ったのは、2033年が舞台の設定なのだけれど、その頃にはまさにそんな時代になっていそうな気がすること。実際恋愛がめんどうだと思っている若者も多いのでは…

だけど恋に落ちるときというのはそういうすべての理屈を超えているので、一度はじまってしまえば止められるものでもないし、五感が震えるほどのしあわせと同時に痛みや悲しみ、自分の醜さを視ることにもなる。だけどそのぐちゃぐちゃなかんじがまさに生きているということでもある…濃く深くつながる、反発しては溶け合う、そういう生身のコミュニケーションを求めることは時代が変わっても人間が人間であるかぎり絶対になくならないし、どんなかたちにせよ、関係性を築くことでそこになにかしらの感情がごく自然に生まれてしまうことは否定できないのだ。

飛ばして結婚したけど恋人がいる、非恋愛のパートナーシップを前提としていたけど「抱きしめたい」と思う一瞬があった、そもそも恋がどんなものかわからない…いろいろなひと、いろいろな関係、いろいろな感情が出てきます。彼らの立っている時代背景もまた、このさき日本に訪れるかもしれない世相に感じて妙にリアリティがある。

  あげくの果てのカノン【~4巻】

 去年の「わたし編」第一位。SF×不倫マンガ。あらすじ含め去年も色々書いたので端的にまとめると

  • 主人公かのんは高校の時からずっと境先輩がすき
  • 境先輩は結婚している
  • 街はゼリーというエイリアンに襲われていて、境先輩はそれと戦う機関で活躍しているが、負傷するたびに「修繕」という修復によって記憶や嗜好、人格に影響が出る。
  • かのんがすきだった先輩はもうどこにもいないのにかのんは先輩がすき。じゃあすきってなんだ。どこから来るんだ。変わらない気持ちの根源はなんなのか?そもそもそんなもの存在するのか…

うーんあいかわらずぐさぐさ刺してくる。

去年以上に、この作品を読むともうなにがなんだか、どうしたらいいのかわからなくて発狂しそうになる。「すきってなに」とか「心変わり」とかそういう、答が出ないまま言葉の欠片だけが思考の海に沈みこむような問いへの誘いだけでなく、「先輩だけを追い続ける」視座で人生が進み、景色が完結していくかのんの世界に、かのんや先輩を取り巻くひとびとが映す世界が多角的に展開されることによって、その恋がいかに残酷で傲慢であるかということがありありと浮かび上がるからだ。その世界のみで閉じて生きてきたかのんがそれを垣間見てなにかを感じても、彼女はその純粋で透明な凶器であり狂気を捨てない。どうしたらいいんだわたしは。もう正直読むのしんどくなってきた。かのんの恋が近しい誰かだけではなく世界を壊していく。わかっていてもそれでもかのんはその一途な恋を捨てない。誰もが幸せでありたいと願う。誰もが好きなひとに選ばれたいと切に願う。現実がそれを許さなくても、感情は生き物だ。恋こそが人間が一番手懐けることができない感情なのだと思えてくる。

作品自体の露出(著名人のレビューなど)も多いし、米代先生も「セブンルール」に出演されていたけれど、弾けている層がかなり限定されているようなイメージなので、来年こそはもっともっと広がるといいなと願いつつ、刺さる層が鋭角なのかもしれないとも感じる。だめなひとは徹底的にだめだろうけれど、すきなひとには暴力的なまでに魅かれざるをえない作品だと思う。胸の真ん中の奥底のやわらかくて無防備で隠しておきたいところを、むきだしにしたうえでとんでもなく容赦なくぐちゃぐちゃに掴まれる気がしてもこの物語の果てを見るまで死ねないとすら思うわたしは、おそらくこの作品に憑りつかれている。とりあえず安易な実写化で消費されるなんてことにだけはなりませんように…夢でみたんだ。「あげくの果てのカノン」が実写化されるって。

  ▽もしもし、てるみです。【~1巻】

 「花のズボラ飯」の先生の新作。インスタ映えとかキラキラ女子とかそういう言葉が飛び交った2017年のネット社会に疲れてしまっているひとにぜひ。

ネットで簡単になんでもできちゃう、繋がれちゃうミライフォン(スマホのこと)に対抗して通話機能のみを搭載した携帯電話を販売する「もしもし堂」の販売員(てるみさん)、サポートセンターのおしゃべり好きなスタッフや、ユーザーを取り巻く日常まんが。ちょっとえっち♥な場面もあるけれど、時に刺さるセリフもある。

ネットは便利だしネットがないとやっぱり困るし現にわたしも今、ネット上でブログ書いてるんだけど、じぶんの頭や足で確かめなきゃいけないこともあるかもね。せっかく生きてるんだから五感をフルに活用したい所存。

 □少女マンガ編

 ▽僕のジョバンニ【~2巻】

僕のジョバンニ 1 (フラワーコミックスアルファ)

僕のジョバンニ 1 (フラワーコミックスアルファ)

 

 チェロの音っていいよね。

海のある街でチェロを弾く主人公と、海難事故によりその海辺へ流れ着いた少年。ふたりがチェリストになるまでのお話でしょうか。もしくはデュオとして。1巻時点で主人公鉄雄は小学生で、まわりにチェロを弾くような同級生はいなく、皆ゲームやらスポーツやらに勤しんでいる中、孤独に鍛練し東京のコンクールで賞をとるような少年であり、流れ着いた少年郁未(ハーフ)は投げ出された海で鉄雄のチェロの音に導かれるようにして奇跡的に浜に辿りついたという経緯がある。そんな経緯から、郁未は鉄雄の音に魅かれている。この街でひとりでチェロを弾く鉄雄の孤独に触れた郁未はあるとき、チェロを教えてくれ、と頼む。で、これがふたりの少年の今後を捻じ曲げる。音楽の才能というのはおそらく、技術だけではどうにもならないものがかならずあって、もうそれは生まれ持ったものでしかないむごさがつきまとうものでもある。かといってそれがある者がその道に進むとも限らず、関係のない場所で一生を終えることもあるだろうけれど、なんらかのトリガーによってそれが解放されたとき、それまでの環境も人間関係も根底から覆すようなつよさがあるんだろうな…圧倒的に無邪気で無慈悲な才能を前にして、じぶんが戦う武器はなにか。生きる道は。そこにたどりつくこともまた才能のひとつなのではないかと思う。そしていつかふたりの音が共鳴したとき、みたことのない世界が広がるのではないだろうか。

 

 以上12作品。若い作品を中心にしたけれど、あいかわらず続刊が良かった作品もいろいろあった!こう、並べてみるとけっこう偏っているというか、似たようなものあげている気がするな。もともとなのかもしれないし、今年の気分がこうだったのかもしれない。

いろいろなマンガが毎日毎日出るんだけど、というか出過ぎ問題なんだけども、ジャンルもレーベルも多岐に渡るなかでこうやってピンポイント的に「すきだ!」と思えるあたらしいものと出会えるのはやっぱりいいなって思います。マンガが好きなひとはたくさんいるだろうから、みなさんそれぞれがそんなふうに出会えるポイントを来年もがんばって攻めて守って作っていこうと思っている次第です。まあ電子書籍でもいいんだけどさ…でもたくさん並べられたものから手に取って眺めて吟味して…っていうのもよきかなって。

 アニメのほうは大した活動していないので時系列順にさらっとまとめると

▽1月…遅ればせながらユーリ!!! on ICEをプライムで一気観してしんどすぎてしぬ。GWごろまで解釈沼にはまりすぎて深淵をさまよう。

▽3月…機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」2期がいろいろな意味でしんどすぎてしぬ。最近ニコニコにあがっていた「異世界オルガ」*2をたまたま見てしまった。笑った。ネタ化されているけれど本当のオルガは切実なのでよくよく考えるとなんか複雑。

▽3月…「劇場版 黒子のバスケ EXTRA GAME」を観に行き、完結を突きつけられてしぬ。内容としてはコミックで読んでいるので、キセキにおける展開がしんどいのはわかっていたことだけれど、藤巻先生より追加されたオリジナルエピソードがまさかの結末。本当に終わっちゃった。

▽4月~6月…実生活の不調によりあまり記憶がない。なにがアニメ化してたっけ?あーけもフレの大爆発がこのクールかな。観てないですけど、歌はすごく好きだった(ありがちなにわか)

▽7月…「活撃 刀剣乱舞の作画にびびる。映画かよ…ufotable賭ケグルイ大好きだから観たかった。ボールルームへようこそも観たかった。縁あって最近コラボカフェに行ったらやっぱり観たくなった。気になるのいろいろあったのに屍化。

▽9月…突然「劇場版マクロスFイツワリノウタヒメ~」「同~サヨナラノツバサ~」を観返し、シェリルの歌で息を吹き返す。シェリルさんかっこいい…「どうせ死ぬなら舞台のうえよ!」抱いて…

オベリスクがすごく好き。「あと1秒生きるために 魂の背中押せ」のワンフレーズにこれまでどれだけ救われてきたかわからない。今回もだ。

▽10月…3月のライオン」2期、毎週泣きそう。そういや13巻よかったなあ。二海堂くんの力強い命のきらめき…きらめくからこそそこに落ちる影…生きてる、ってかんじで…

だいたいしんでてめんどくさいやつ。ポジティブに捉えるとしたら、それくらいダメージを受ける作品と出会うべくして出会ってるかんじかなあ。今期観るアニメは何本…って見方をやめたので、すっごい鋭角だけど必要なものにしぼってるんだと考えよう。

 来年の情報もいろいろと出てきて、アニメの界隈において気になるのはやはり過去の名作の再アニメ化だったり、初のアニメ化だったり。最遊記とかグルグルが決まった頃に、「いや、これ封神演義とか幽白とかの再アニメ化来ちゃうんじゃないのwそしたらしんじゃう世代が出る」とか笑ってたらほんとに封神演義来てしまった。わたしは幽白もあるんじゃないかって思ってるんだけどね。過去の名作にスポットが当たるのは、視聴率の良かった作品の続編を作るようなドラマ業界とおなじ理屈なのか、それとも今の技術でより世界観の表現をしたいという制作側の熱なのか、それとももっとおとなの事情なのかははかりかねますが、これだけアニメが乱立している昨今に於いて、結局本物だとか名作だとかそういうものしか生き残れないような時代になっているのかもね。とか書いていたら「BANANA FISH」までアニメ化するという。制作ラインナップからしてすでに新たな層への沼となる完璧な体制にも思えるけれど、そういうのは置いておいて、あの作品は時代にはまるんじゃないかなあ。

コミックもアニメも娯楽だから、気楽に楽しめるものであることも必要だけれど、カルチャーであり創作だからこそ、そこに文学性だとか精神性だとか社会性だとか思想だとか、そういうものを深く織り込んだ作品もたくさんあって(娯楽作品にそういうものがないと言っているわけではない)たとえばまんがといえば少女時代に読んだものしか知らなかったわたしの母親のようなひとが「3月のライオン」のアニメを観て深く感銘を受けるようなこともあったりするので、来年はよりそういう作品に浸かれたらな、とか考えている。他人(=作者)の想い、熱、思考を自由に受け止め、自由に考え、じぶんのなかに落とし込む。もしかしたらそれはじぶんのなにをも変えないかもしれないし、それにたいして傷ついたり否定的な考えを抱くかもしれないし、いつのまにか忘れ去ってしまうのかもしれない。けれどいつかそれをとりだしたり、はっとするときがきたり、あとあとじんわりと広がりだしたりすることだってあるかもしれない。表現することは自由であると同時に、どう考え、どう受け止めるかも自由だ。そしてそれを止めることなく考えつづけなきゃ、と最近よく思う。情報と消費のスピードが早い時代。だけれども消費されるというステージに乗らなければ勝負することもなかなかかなわない時代で、そんなふうに胸を揺さぶり、考えること、想うことを与えてくれる作品をわたしはいつだって探している。待っている。

 

 

 

2016年ヲタ的備忘録②書店員によるマンガ界隈のこと。

前回の続きのようなもの。今回はマンガとかちょっとアニメとか。

 本が売れない、書店が消えていくという話はよく聞く。実際むかしに比べたらそうなのだろうと思う。いろいろな趣味がたくさんある時代だし、たぶんもう本は一大娯楽ではなく嗜好品になったのかも。

電子書籍インターネット書店の台頭で書店が…というのもよく聞く。これはもう時代の流れと世相というほかない。もちろん諦めたくはない気持ちも存在はしている。

電子書籍で連載しているマンガが単行本化してレーベルや作品がどんどん増え、店頭の棚やスペース開けに四苦八苦するときに、本はスペースを取るから、ある程度自宅にそういう場所が確保されていなければ増やし難いものになっているのではないかと最近よく考える。実際じぶんも大きい本棚を買い直したけれど部屋はさほど広くないからこれ以上増えたらどうすんだ状態。土地も高いし家賃も税金も高くなっているのに給料はあがりにくい昨今、広い家や部屋に住むこともなかなか難しい。だから断捨離がブームになったのもわかるし、電子書籍に移行していくのも納得かも。所有が難しくなっている時代というかんじ。もっと単純に趣味にがっつりお金を使えないという景気の悪さもあるのかな。消費しろ物を買えと言われたって元手がなきゃねえ、とはわたしも思う。

インターネット書店に関してはもう在庫量にはかなわないし、出かけなくても買える店頭では買いにくいものも買えるとか大量に買っても持ち帰る労力がいらないとかもうメリットだらけじゃない!と思う。デメリットは今すぐ読みたいが叶えられないことくらいだが、〇ライムみたいなサービスもあるからどんどん垣根がなくなっている気がする。

そんな業界でもなんで諦めたくないなあと思いつつ書店員をしているかというと、だいたいが書籍やコミックをあいしているという以外にない。個人的に本は熱量そのものだと思っているので、とくに紙でできたもの、紙の匂いがしてインクで印刷してあって手に重みが落ちるものであってほしい。単なる個人の矮小なこだわりのはなしで、電子書籍がそうじゃないと言っているわけではない。

文芸作品にしろ実用書にしろコミックにしろ、作者の方がいのちを削るかのごとく書いて熱量をかたちにしたものだと思うし、雑誌だって情報をくまなく届けるっていう熱意にあふれているのだろうし、出版社に勤める方たちもきっと良い作品を世に送り出したいって思っているのだろうなと考えているので、すごく熱量がこめられたそれをだれかの手に届けるというもたぶんこの仕事が楽しいひとつの理由。下がり気味とはいっても、まだまだ書店に足を運んで購入してくださる方はいらっしゃるので、それを必要としているだれか、もしくは必要とはしていなかったんだけどたまたま書店で出会ってしまっただれか。書店は末端だからこそ届けているという感覚がつよい。それに偶然の出会いなんてインターネットではあまりない店頭ならではのつよみだと思うし。むしろ即行性とそれが書店のだいたいの存在意義なのだろうとじぶんは感じているし、そういう出会いを作りたくて日々仕事をしている。

 

前置きが長くなってしまった。

 

もともとマンガは好きなのだけれど、なんというかまあ、趣味というより今は商材なので、火がつきそうだとか、棚に差すより積むほうが目に止まりそうとかそういう観点で見てしまうことが多くそこが悩ましい。正直個人的な嗜好からすれば読まないジャンルでも「これは売れるべき」と思うと推すし…好きなのは変わらなくても、むかしのようにただ純粋に探すってことができなくなっているのは感じる。そんな膨大な作品群の中でも個人的に今年印象的だった作品やできごといくつか。ランキングとかではない。

 

BLEACH(〜74巻 完結)

昨年から長期人気連載が軒並み終わっていくジャンプから今年、大好きな作品がついに去ってしまった。さみしい。だけど最後はなぜあんなに急ぎ足になってしまったのだろうか、というのは少々疑問。少なくともまだあと最低5巻分くらいはあるのではないかと思っていたので吃驚である。まあもっと読みたかったっていう未練かな…ん?これはスピンオフネタ?って思わせるような締め方ではあったのでまさかBLEACH2ndある??

空白などと揶揄されがちなあれを行間だと思っているくらいにはセンスに惚れこんでいたところも大きいので久保先生ご本人が描くなら読みたさある。が、今はまずお疲れさまでした。近々の巻では71巻収録のマユリとネムの件が最高だった。

BLEACH―ブリーチ― 71 (ジャンプコミックス)

BLEACH―ブリーチ― 71 (ジャンプコミックス)

 

ジャンプコミックスと言えば、春頃に『暗殺教室』の特典で実写映画の写真を使用したしおりをお渡していたのだけれど若い女の子から「これの山田くんバージョンないですか」とよく聞かれたのがジャニヲタ的には思い出に残っている(リバーシブルだったので、殺せんせーの面をひっくり返すと渚役の山田涼介くん)

 

・かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳心理戦~(〜3巻)

めずらしくラブコメ読んだ。両想いなのに自分ではなく相手から言わせたいがために繰り広げられる男女ふたりの脳フル回転の思考の読みあい、心理戦や舌戦がアホくさいしギャグかよなのだけれどもついニヨニヨしていした。常人以上の思考力のせいでななめ上をいってしまったり、恋愛においては初心者レベルでぽんこつだったりしてお可愛いこと…ふたりを取り巻く書記の藤原さんやかぐや様の近侍である早坂さんもかなり良いキャラクターだし、さらっと読んでわらえる軽さが気に入っている。この手のジャンルってかネタは引き伸ばししすぎるとおそらく失速するのでそのあたりが来年どうなるんでしょ。

www.s-manga.net

 

・不滅のあなたへ(連載中)

今年の夏に映画も公開された『聲の形』の大今良時の新連載。誰かによって世界に投げ込まれた「球」が物体を写しとって変化していく過程をその誰か(神?)が観察しているような1話からはじまる。未読の方はとにかく試し読みの1話読んでくださいとしか。姿は写し取れてもそのものにはなれないし、何も知らない球が出会いや経験を通して様々なものを獲得していくのが本筋ぽいけどそうしたら不死である球は最終的にどんな存在になるんだろ…球と違って生き物はいつか死んでしまうから、それこそたった一度の人生をどう生きるかってのが命題だったりするので、その対比も表現されるのかな。出版社の推しもネットの声もすごいけれど、この作品は1巻(1月発売)から劇的に跳ねる大ヒットになるか、それとも今後読む人を選ぶかどっちに転ぶのだろうと先行きが今いちばん気になっているある意味化け物のような存在の作品。きれいな絵で見せる哲学めいた世界観やよくわからんがすごい、みたいなものに圧倒されるようなところは確かにあると思う。わたしは1話を読んだときになぜかファイアパンチが脳裏をよぎった。1話掲載時の表紙の煽りを見るに、手塚先生に挑むって意味かなあ。火の鳥

www.shonenmagazine.com

 

・中間管理職トネガワ(~4巻)

これはカイジを知らないとおそらく面白さが半減……だが……!知っているひとが読めば……!実に愉快……!痛快……!圧倒的痛快っ……!

というかんじ。カイジ好きな人はみんな読んでいるのでは。

カイジに出てくる帝愛の利根川さんが主人公の公式スピンオフ。福本先生ご本人の作品(ご本人が描いた話が特別収録されている巻もある)ではないけれど、アシスタントの方が描いているらしく福本作品の絵柄はもちろん色や特徴そのままにギャグに落とし込んでいる秀逸な作品。ギャンブル漫画ではなく、利根川さんもブラック企業に勤める一サラリーマンとして、兵藤会長と部下の黒服のあいだで苦悩している面を描く。どこか哀愁や切なさも感じてしまうし、なんかかわいいおじさんに見えてくる。「限定ジャンケン」を黒服がパワポを無駄に駆使して作り上げた資料でプレゼンする回がすきすぎる。この利根川の「パワポ……!」の一言でも意味わかんないくらいわらえた。

f:id:rubyk:20161209055050p:plain

だいたいギャグでわらえるけれど、実際にこういうことありがちみたいなネタで切り込んでくるので、社会人としてはけっこう刺さる面もある。

このマンガがすごい!2017オトコ編 第1位受賞おめでとうございます!!

yanmaga.jp

 

東京タラレバ娘(~6巻)

アラサー女子のHPを削る攻撃力に於いて右に出るものがやはり今年もなかった。最近ありがちな「アラサー彼氏なしの処女が年下男子にアプローチされて胸きゅん歳の差ラブ!」とか「こじらせヲタのわたしがイケメンに告白されてドキドキ恋愛レッスン♥」みたいなノリだったら「はいはいファンタジーファンタジー」とこちらもノリで楽しめるが、これは読むとだいたいタコ殴りにされて精神がサンドバッグ状態だし、泡を吹いて気絶しそうになるか針の海に身を投じるか自ら業火に焼かれにいくか…もはや娯楽作品じゃない。そんな作品をなぜ自ら好んで読むのか?読み終わるとなぜか「働こう」「がんばらなきゃ」と奮起する。そんなパワーがある。というかおそらく「働かなきゃ」「もはや働くほかに道はない」がただしい。

kisscomic.com

実写ドラマになるのは時間の問題だった。ただあの独特なハイテンションと行き場のない焦燥をはたして実写に落とし込めるのか疑問。つーか白子とレバーの声は誰がやるのさ。

 

・あげくの果てのカノン(~2巻)

このマンガがすごい!2017 わたし編』の1位に推したい。

端的に言えば恋愛マンガだけれど、この作品の世界は「ゼリー」と呼ばれるエイリアンに襲来されていて、普通の日常はあってもやっぱり普通じゃない。そんなエイリアンと戦う組織にいる先輩にずっと片想いをしているのが主人公かのん。先輩(既婚者)の行きつけのお店でバイトして再会に賭けたりいざ再会できたら盗撮するわ(これはむかしから)会話密録するわでまあストーカーっぽいところはあってもずっとすきなんです。一生好きでいられるって言いきれるくらい。先輩はエイリアンとの戦闘のたびにからだを負傷して、それを回復させるための「修繕」によって性格や好みが変化をしていくので、かのんが好きになった高校のときの先輩はおそらくどこにもいない。だけどかのんは相変わらず先輩がすき…恋やすきになることに理由はないとはいえ、きっと何かしらひっかかるものや響くものがあるのだと思う。だけどもしもそれがかたちを失ったら、「すき」はどこへいくんだろう。恋に落ちる瞬間に理由はなくても、わたしたちは時にいろいろと後付けをしたがって、こういうところがすき、なんて言い出したりする。人間多少変わることはあってもやっぱり根本にはその人がいるはずだからたぶん安心できるのに、それがまるで変わってしまったら、その根本的なところさえ知らない人になってしまったらすきでいられるのだろうか、と考えるとそもそもすきとか恋ってなんだろう、第一なにを、どこを持って「すき」だと過信し、断言できるのだろう、これまでそうしてきたのだろうと考え込んでしまった。

あと、ここに描かれているかのんの恋は、恋そのものだと思う。個人的には恋はきらきらしたものなんかじゃなく、どちらかといえば醜態だと思っている。もっと言えばありとあらゆる不安定な情緒と感情を煮詰めてできたどろどろに、目に映る世界が変わるほどの眩しさを混ぜてできる振り切れるほどの狂気。表には出さなくとも、ストーカー的な行動には移さなくとも、どこかシンクロする部分が誰しもあるのではないかと思う。

装丁もいい。

www.shogakukan.co.jp 

 

・同居人はひざ、時々、頭のうえ。(~2巻)

今年は空前の猫ブーム来てたねってことで。猫マンガもいろいろと刊行されたイメージ。これまでもねこぱんちコミックスをはじめとしてコミックエッセイあたりでいろいろあったんだけど。

とにかくお転婆な陽ちゃん(猫)がかわいい。ちょっと目つきが悪いところもかわいい。癒される。外出や人と会うのも苦手な引きこもり系低体温男子である飼い主のことを「わたしがまもってあげる!」ってかんじなんだけど、この陽ちゃんも飼い主素晴くんも家族と別れているので、少しずつ近づいて家族や居場所になっていくのかなって話。素晴くんを取り巻く人たちが結構世話焼きで明るく彼とは正反対で、そういうひとたちとの関わりで彼も少しずつ変わっていくのだろうなあ。

comic-polaris.jp

甘々と稲妻(〜7巻)

夏アニメ作品。ふつうにわたしが好きなやつ。癒し。ごはんを誰かと食べるってしあわせでおいしくて、だいたい毎巻やさしくて泣いてる。基本的に飯マンガが好きで、食を通して日常や心の機微が描かれていたらより好きでどちらかと言えば店の食べ歩きよりもじぶんたちで作るともっといい。そういう意味ではこの作品が一番好き。実写ドラマになるかと思っていたが先にアニメになるとは。

 

3月のライオン(〜12巻)

12巻で川本家の父親問題が終結して、息詰まる重さがとれてようやく本来の良さが戻ってきた気がする。いつか川本家の話も描くのだろうとは思っていたけれど、ひなたのいじめ問題のあとに父親の話が予想外の展開で続いて読むのが少々辛いところがあったけれど、12巻でやっぱライオン好きだわ、と思えた。

『3月のライオン』羽海野チカ | 白泉社

 

・深夜のダメ恋図鑑(~2巻)

正直ずっと動きが鈍い作品だったんだけど(うちの店舗だけかもだけど)表紙からしてもう返品するのが惜しくてこういうのは今の時代に受けるんじゃないの…?と思っていたら、2巻発売のタイミングかなにかでネット広告に載ったみたいでじゃんじゃん売れた。女性陣もちょっと環境や設定が特殊であったりするし、登場するダメな男も待って、ここまでひどい人いる?とは突っ込みたくなるんだけど、深夜の女同士の本音がえぐいのはだいたいあってる。さわちゃんとおバカ彼氏のやりとりが1番好き。
www.petitcomic.com

 

ほかにも目を通したものも含めていろいろと読んだ気がするし、続刊があいかわらず安定して面白いものは多々あったけれど、今年は全体的に小粒で、大爆発した作品あったかな?くらいの印象。去年のダンジョン飯みたいな、一年通したマンガランキング系で絶対1位になるでしょ!ってわりと容易く予想できる作品がなかった。話題性という面ではいくつかあったけど、ランキングの上位にはつけてくるんだろうなあくらいで、なんかサブカル層の中だけでもう完結してない?ってかんじだったり…ライト層を巻き込まないと大爆発とは言えないし、たとえはじめはサブカル的なものだったり、濃いマンガ読みの方が目をつけていたものだったとしても浸透していってすごく広がったというはたぶん今年のランキングにはあまりない。情報の共有が早いから、正直瞬発力はあっても持続性がないことも多いし、もちろん良いものだからこそそれが作用しているってこともあるけれど、情報の多さで錯覚に陥ってしまっているものもおそらくある。ランキング自体が販売数や安定した面白さをもつタイトルの選定ではなく、いかに新しいもの掘り起こすかって主旨だろうからそれはそれでいいんだけど、大絶賛されていても店頭で全然回らないことは多々あった。地域性や客層によって売れ筋は変わるから、そのあたりの影響もあるかもしれないけど。

正直アニメ化原作の売れ行きもなかなか厳しくなっているのを感じる。『僕だけがいない街』や『Re :ゼロから始める異世界生活』(ライトノベル)は跳ねたけどもう売れて売れてしょうがないっていう体感があったものは夏頃からはあまりない気がする。

君の名は。』のヒットのおかげか、関連書籍をはじめ、新開監督作品のコミックは好評だった。

個人的にはアニメに関しては続けて観る時間がなかなかとれないのと、だいたい二期ほど前から在庫を確保できるように準備しているので、はじまる頃には在庫が揃ったことに満足していたり、次やその次の準備に取りかかっていて観るところまでなかなか至らない。怠慢だ…

でもこれはきちんと観ようと思って3月のライオンは観ている。土曜11時という時間帯なのでリアルタイムしていたら母親が突如としてはまったwおそらく好きそう、という感覚はあって、以前からこのマンガの話題を夕飯の時間に持ち込んだりしていたのだけれど、やはり百聞は一見にしかず、というのか自分で目の当たりにしないとなかなか引っ掛からないものだなあと思った。ライオンは発表されたときや日常話しているときは、うん?シャフト…?と感じることが多かったけれど、心象風景を描くときはあ〜〜こういうことかと納得だし、このあいだ香子が出てきたときはもう香子さんただのシャフトのファムファタールやんくらいの勢いだった。3か月目にして未だ2巻の途中までしか描かれていないという丁寧な作り方で、いったい何クールで原作のどこまでいくのだろう。島田さんや宗谷さんの声優さんが決まっているところを見ると、2クールはありそう。序盤の中では2巻のラストがとても好きなシーンなので、そこが放送されるのが楽しみ。

それと鉄血のオルフェンズくらいしか観ていないのでわたしもうアニヲタ名乗るのやめるわごめん…刀剣乱舞をプレイし続けていれば花丸を観ていたんだろうなーと思うんだけど、検非違使登場したあたりからめんどうになってきてしまって、ちょうど鶴丸がカンストしたからやめてしまった。『ユーリ!!! on ICE』がちょっと気になってユリオのビジュアルを見たときになんとなく転がり落ちる未来しか想像できなかったので、それもやめたけどフィギュア観るの好きだし、DVDレンタルはじまったら結局観るかも。

趣味(主にジャニーズ)が増えたせいでここ数年どうしても金銭的な比重がそちらに傾くことが多く、4月に二次ヲタ人生一旦完結させるわ的なことを言っていたんだけどなんだかそのとおりになった。それに加えて、アニメにしろゲームにしろ女子の覇権ひととおり通るぜ!みたいな時代はわたしの人生の中ではもう終わったんだろうな。たぶん『Free!』がさいごだった。結局歳かなってところに落ち着いて悲しいねえってはなしなのだけれど、やっぱりめまぐるしすぎてああ、もうむり、っていうのが事実だからしょうがない。前回も書いたけれど、それでもきっとまた「これは」って作品に出会うときが来ると思うのでそのときには全力で楽しみたい所存。とりあえず来年、黒子のバスケの新作映画は楽しみにしている。

 

 

 

某執事まんがのことわすれてないから!!

いま世に蔓延りがちな「コミック実写化」という風潮について。

 

さいきんさすがに節操がなさすぎやしませんか?

 

わたし自身は実写化ってべつにいいと思っています。むかしから小説やコミックの実写化っていうのはないことじゃないし、成功しているものもあるし。ただ向き不向きってぜったいあるんですよね。とくにまんがは絵があるのでそれが顕著だと思います。

日常系のなかでとくに少女漫画あたりは比較的実写向きだと思っていますが(キャストがまあ、わからんでもない、という人選であるのが大前提)、ファンタジーとかバトルとかはだめだよね。CG云々の問題じゃねえから。

いちばんゆるしがたいのは「すべてを再現するには少々無理があるので、舞台をすこしかえて~」ってみたいなやつ。いわゆる設定だけ借りてきました、っていうやつ。

……それってさ、リスペクトどこいったの?

って思ってしまうわ。いや、そりゃリスペクトがないわけじゃないでしょうし、作者の許可そりゃとっているのでしょうが

ばかにしてんのか?

っていうのが本音だ。

いまはテレビ離れとか言われがちだし、映画だってわざわざ映画館で観るひとが減っていて、くるしいのかもしれないし、外すとあとがない、という状況もあるかもしれないので、オリジナルで勝負しにくい時代なのかもしれない。

だから「何千万部突破の超人気コミック」という煽りにすがりたいっていうのもあるのだろうとは思う。

だけど、そのあなたたちがすがりたいものって、作者の方がいのち削って描いているものなんですよ。それをね、改変したり再現できないからって設定変えたり、ちゃんと読んだ?っていうくらいあわないキャストもってこられるのほんと白目。

そういう、テレビ局なり制作会社なり芸能界なりのあれこれが透けてみえることがさいきん多すぎるからね!?

キャストが叩かれがちだけど、そういうことじゃなくて、もう映画なりドラマなりをつくるほうにもんだいがあるというか、個人的には、なにかをつくりだす立場なんだからちょっとはいのち削ってオリジナルでなんか産んでくれよ、って思ってしまう。

もちろん「この作品はほんとうに好きだからじぶんの手でぜったい映画にしたい」って思っている方だっていると思うので、ぜんぶがぜんぶオリジナルでつくれ、と言っているわけじゃないけれど、そういう方の作品ってきっちり作り込まれていることがやっぱり多い。原作のファンからすれば(このエピソードは削ってほしくなかった…)とか(このキャラはああいうイメージだったのに…)とかはないわけじゃないからそれは永遠の押し問答というか、もうファンが多い作品ほどその数だけのイメージがあるから、みんなとすりあわせるのはむりなはなしなので、もう「いやなら観るな」のはなしでしかないけれど。というか実写化自体「いやなら観るな」で済むはなしかもね。こんなことうだうだ言わなくても。

でもさすがにさいきんほんとうにひどすぎるよ。

連日、噂レベルでしかないものもふくめ、じぶんの思い入れのつよい作品の実写化ばなしが舞い込んでほんとうにがっかりすることが多いです。

ただ、ちがうおまえじゃない、とキャストに非難をむけがちな風潮はほんとうにやめよう。これはわたしがジャニヲタでもあるから思うことなのかもしれないけれど、俳優さんなりアイドルなり、やっぱり来たしごとを受けるしかないというか、わたしもそうだけど、たのまれたしごとはやっぱり社会人として全うしなければならないわけですから。

もちろん実写化するうえで、キャストがだれであるのか、というのはわりと重要なのはわかる。だけどけっきょく誰がやったって文句は出るわけだから、それよりもやっぱり業界全体の実写化しとけばOKみたいに感じる風潮がちょっとね…という。

 

あとね、コミックを売る現場のにんげんから思うこと。

じぶんがすきなひとがキャストを務めるからって、原作買おうってひとあんまりいないよね?実写化で重版してがっつり送ってこられるのはまあわかるけど、平台の積み減ってねーってこともけっこうあるんですよねー…

なんかそういう相乗効果とかいい流れでもあれば実写もわるくないかな~と思うんですよね。

実写化するうえで作品がきちんとつくりこまれている→すきなひとが出るから観たけど作品自体めっちゃおもしろいしもっとふかく知りたいから原作読もう→コミック売れる→原作者にもお金が!→映画のおかげ→みんなしあわせ

みたいな。

うまくいえなくてなんか金の亡者かみたいなはなしになってるけど、そうじゃなくて、なんていうんだろう…こういうループがうまくいってなくていまの実写化ってすごい独立しちゃってるというか。原作と作品とそこに携わるひとのあいだの関係が分断されている、みたいに感じるのですよね。

あくまでそう感じるだけであって、なかには原作者の方がキャストを希望されて、とかそういうこともあるのでうまく関係が成り立っている作品もあるとは思うのですが、わりと業界の思惑だけが暴走して、置き去りにされがち。

 

コミックやアニメをあいしている身としては、もうだれもしあわせになれない実写化はやめよう、と思うし、ほんと絶望!!!!やめて!!!!!!と思うんだけど、だけどやっぱり、じぶんがすきなひとや応援したいひとが主演、と言われると(ちょ…いや…さすがにあってなくね…)と思ってもがんばって売りたくなる気持ちがあるわたしはわりと板挟み感あって困惑する。たぶんどうあがいてもジャニヲタなのだな、というか、まあなにが言いたいのかっていうと、某ポリス×JKまんがとか超がんばって売る予定だよわたし!!!!ってはなし。